職場で活躍するカウンセリングとは


心理カウンセラーが働く職場といえば、従来であれば病院やクリニックなどの医療機関がメインと思われてきました。しかし、近年、その活躍の場はますます多様化しており、決して遠い存在ではなくなってきました。例えば教育機関でのカウンセリング。生徒の悩みを聞くだけでなく、親や先生からの相談を受け、アドバイスをするスクールカウンセラーと呼ばれる働き方もあります。そして、企業でのカウンセリング。ストレス社会といわれる現代、カウンセリングは職場でも必要とされています。職場で活躍するカウンセリングとは何か、今回はそこに焦点を絞って解説いたします。

近年義務化されたストレスチェックとは

皆さんは、「ストレスチェック」という言葉をご存知でしょうか?もしくは、すでに受けたことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。

ストレスチェックとは、厚生労働省により企業に義務付けられた制度です。一定の就労条件をクリアしている社員は、年に一回実施しなければなりません。第一回は2015年12月1日~2016年11月30日までに実施すること、とされていました。これは、企業に勤務する社員のメンタルヘルス対策として作られた制度です。

近年、仕事をしていく上でのストレスが原因で、精神面での不調を起こす人が増加しているといわれています。うつ病や統合失調症等の精神疾患を患い、仕事を続けていくことが困難になるだけでなく、自殺をしてしまうケースさえあるのです。そういった大きな社会問題が背景にあり、精神面で不調を起こしてしまう前にリスクの高い人を発見しケアすることが一番の目的とされています。ストレスチェックは企業が行うのではなく、外部の医師などが行います。内容は質問形式となっており、インターネット上または紙媒体いずれかで実施されます。

職場におけるストレスの例

では、社員が精神疾患を患い、自殺してしまうほどのストレスとは、いったいどのようなものなのでしょうか?ストレスやイライラを生む原因となり得るパターンを挙げていきたいと思います。

接客業におけるストレス

販売員やウエイトレスなどを含む接客に携わる人たちは、企業に所属している中でも表舞台に立っている存在です。つまり、ミスが許されないと言っても過言ではない立場にいます。そういったプレッシャーを抱えながらお客さんの対応をするわけですから、常に緊張感を持った職種なのです。そのようななか、多かれ少なかれ起こるのがクレームです。自分のミスが原因であろうとそうでなかろうと、クレームを受けたら即謝らなければなりません。また、時にはこちら側に落ち度がなくても頭を下げなければならないこともあるでしょう。お客さんのいうことは絶対になるからです。そんな不条理な状況におかれ、いつの間にか本来の自分というものが分からなくなってしまうのです。

技術系におけるストレス

代表的な職種を挙げるとするならば、プログラマーやデザイナー、設計士などです。このような仕事に携わる人たちは、基本的にマイペースにコツコツと物事を進めていくタイプです。言ってしまえば、接客業に携わる人とは逆のタイプであることが多いかもしれません。しかし現在はこうした職種でも営業的な要素が求められ、企業の求人の中にも、「コミュニケーション能力の優れた方を希望します」と記載されているものを見かけます。社員同士、お客さんとのコミュニケーションを双方円滑にするのは思った以上に難しいものです。それが負担になり、単なる苦手ではなく対人恐怖症になる危険性もあるでしょう。

増しているカウンセリングの関心度

職場におけるストレスは挙げていけばキリがありません。そんなストレスを少しでも取り除き、また、よりよい方向へと導いていく存在、それがカウンセラーだといえます。社員の心の健康が保たれること、それは、ひいては企業の発展に繋がっていくのではないでしょうか?ですから、今後、カウンセラーは企業との関わりが深くなっていくことでしょうし、カウンセラーとして活動していきたいのであれば、それは避けて通れない道だといえます。

日本の企業は、日本で生活する人への強い影響力を持っている集団です。例えば、近年問題になっているコミュニケーションの希薄化。これはパソコンやインターネット、スマートフォンが普及し情報社会となったからこそ起こったものです。企業がこのままIT化を加速させていけば、その問題はますます深刻化していく恐れがあります。これからの時代に必要なこと、それは企業が自身の持つ心理的な影響を理解することです。そして、そんな企業と関わりを持ち、提言を行っていくのがカウンセラーの使命なのではないでしょうか。

心理カウンセラーはこれから先、日本ではますます需要が高まっていく存在だといわれています。これまでは、人対カウンセラーが主流でした。しかし、今後は企業対カウンセラーという関係性が重要になってくるでしょう。需要が高まると同時に、カウンセラーには広い視野が求められるに違いありません。



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