逆境に負けないメンタルのコトバ

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アイディアのメンタルトレーナーが「逆境に負けないメンタルのコトバ」をお届けします。

vol.22 浮世満理子

プロフェッショナル心理カウンセラー
アイディアメンタルトレーニングセンター
メンタルトレーナー

伝統の一戦のメンタルには、大きなプレッシャーと感動が同時に存在する。
そこには、予測できないドラマが生まれる。

vol.22 浮世満理子

解説

大きな試合、伝統の一戦、試合会場の緊迫したムードに包まれ、アスリートの一挙手一投足に私たちは感動します。
「原則として、大切ではない試合というものはありませんが、大事な一戦、というものがあります。たとえば、ライバルとの試合、決勝戦、誰もが注目するような伝統の試合には、他の試合にはないプレッシャーがかかるうえに、感動を期待する観客の目もあるのです。」
優勝決定戦、オリンピック代表選考試合、ライバル同士の勝負など、スポーツの世界には「この試合は見逃せない」「この勝負だけは見たい」と人々に思わせる一戦がある。
こういった一戦には、他の試合にはない大きなプレッシャーと感動が同時に存在すると、多くのアスリートのメンタルトレーニングを手がけてきた浮世氏は語る。
「『伝統の一戦』には、負けられない、あるいは、失敗は許されないという普段以上のプレッシャーを生み出すと共に、ファンや観客の期待度も大きくなり、ドラマティックな展開を予想したりします。それをトップアスリートたちは肌で感じ、それに応えなくてはと考えることで、更にプレッシャーを自分にかけていくことになるのです。」
しかし、実際に「伝統の一戦」には、ドラマティックな要素を持つ試合が多い。
「『伝統の一戦』においては、見る観客のテンションもかなり高くなっています。だから、アスリートの一挙手一投足に対するリアクションも大きくなる。それが、試合会場の緊迫感を盛り上げ、プレーに劇的な要素を加えるのです。」
大きなプレッシャーを感じている選手には、観客の歓声やため息もメンタルに作用する大きな要素の一つであろう。
「その舞台の中で、その緊迫感も自分のエネルギーとしていけるメンタルが、普段の一戦では見られないプレーを生み出していきます。伝統の一戦を闘うには、単なるそれまでの積み重ねや闘っていく技術を越える強靭なメンタルが必要となるのです。」

アイディア式メンタルトレーニングとしては?

「伝統の一戦」のように、普段とは違う緊迫感とプレッシャーのかかる試合では、アスリートにかかる重圧は相当なものになります。しかし、その重圧を自分自身の潜在能力を伸ばすエネルギーに変えていけるかどうか、これがトップアスリート、あるいは頂点にあがるチームになれるかどうかのメンタルの分かれ目です。
かつて、アテネオリンピックで団体金メダルを取った男子体操チームのキャプテンを務めた米田功が、集中力でこういう話をしたことがあります。
「周りの音も聞こえなくなるような集中力、たとえば、夢中で本を読んでいるときの集中力は、ゾーン状態であるとも言えます。自分の部屋なら、集中して本を読めても、世界が注目するオリンピックの試合会場で、同じ集中力を持って本を読めるかどうか、これが鍵なんです。」
浮世氏の言う「ドラマを創れる選手」とは、オリンピックの試合会場で本を読める集中力を持った選手のことなのかもしれません。
重圧と期待に埋まった空気感の中で、普段どおりの力を発揮できること、びりびりと肌が震えるような歓声の中で、自分の力を発揮することに集中できるメンタリティが、人間の身体の能力の限界を超えさせ、奇跡のようなプレイを生み出していくのです。
かつて、世界のホームラン王と謳われた王貞治氏が、「調子のいいときには、ボールがとまって見えた」、と語ったのは有名な話ですが、どんなに大きなプレッシャーの中でも平常心を失わずに目の前のプレーに集中できるメンタルがアスリートの持つ能力を究極まで研ぎ澄ませ、素晴らしいプレーを披露していくのでしょう。 観客が、伝統の一戦に感動とドラマを見出していくとき、それは、人が持つ可能性を押し広げていくアスリートのメンタルの強さに触れているときといえるのかもしれません。
とても取れるはずがないと思われた球をとった瞬間、打てるはずがないと思った球を打った瞬間、それは同時に、取るはずだ、打つはずだという大きな期待に応えた瞬間。
人は、人間の可能性の素晴らしさと、どこまでも前進していく力強さに感動し、心からの賛美をアスリートに送るのです。

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