エンターテイメント研究会 ~シティハンター:苦手克服の認知行動療法~

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シティーハンター(苦手克服の認知行動療法)


シティーハンターを読んでいて
面白い回を見つけました。
そうそう、あったよねー、これ。


飛行機乗りの美人の翔子さんの
ガードをするお話。


ここで、なんと冴羽さんは
「飛行機恐怖症」であることが判明。


幼いころに飛行機事故で
九死に一生を得た冴羽さんは
どうもこの時のトラウマからか
「飛行機に乗る」ことが全くだめらしい。


本人もそれまで知らなかったようですから
今までの人生で
移動は船かヘリコプターだけだったんでしょう。
中東からアメリカに行った時には
やっぱり密入国なので
船だったのかな?
それともジェット機ぐらい大きかったら
気にならないのかな?
(ところで冴羽さんが新幹線に乗ってるイメージ
思い浮かべにくいな)


好きなことに集中すれば
嫌いも克服できるかも、と
ヌード写真いっぱいのセスナに
乗ってみたり(乗せられてみたり)してますが
これじゃダメだったらしい・・・


ぐらいのところで
思わず職業意識がむくむくと。
これは、「恐怖症克服」ではありませんか。

苦手克服

彼らがお話の中でやっているのは
「認知行動療法」なのですよね。
つまり、恐怖するものがある場合に
行動することで恐怖や不安を克服するという
基本的な対処法です。


何かを「ものすごく」恐怖する、不安に思うというのは
多くは心理的なものがかかわっています。


冴羽さんのように
そのものずばり「怖かった経験」と
特定の対象物が結びついたとき
対象物を見るだけでも
その時の恐怖が瞬時によみがえり
パニックに襲われるというもの。


あるいは、人に対する不安や恐怖
傷つけられてしまったなどの経験から
「人に会うことが怖い」
「人に見られることが怖い」
対人恐怖から外出できずに
引きこもりになることもありますし
うつ的な状態に陥ることもあります。


あるいは、
いじめやパワハラなどの事例では
「あの場所に行くと傷つけられる」という
学習をしてしまった形で
特定の場所が怖くなる。


教室(あるいはいじめられる相手)が怖い
 ↓
またそんな目に会うことが怖い
 ↓
その相手に会うことが怖い
 ↓
学校が怖い
 ↓
学校に近づくのが怖い
 ↓
(学校がある)外が怖い


ものすごくざっというと
こういうものでしょうか。


これを改善していくのが
認知行動療法と呼ばれる方法。
こういうケースで
多く選択されるセラピーです。


恐怖の程度が低いところから
徐々に高いところへ移行し
恐怖を克服するとか
恐怖のものとなっているものの
「認知」(捉え方)を変えるというものなんですよね。


シティーハンターでも
この「認知の変化」は
一瞬ではありますが
機能しています。


結局ヌード写真じゃだめで
冴羽さんがこの恐怖を越えた瞬間は
香さんが人質に取られたときに
セスナに飛び乗って
救出に行く・・・という
この時だけでしたね。
(その後のシーンで、翔子さんと乗ってますけど
やっぱりそれはだめでしたから)


恐怖症は
何かに強く囚われている状態。
香さんがさらわれた時に
飛行機に対する恐怖心なんて
ふっとんじゃったのでしょう。


というよりも、
セスナに乗ることは行動の主題にはなっておらず
香さんを助けることが主題になっていて
セスナは単なる背景。
おお、ゲシュタルトの図と地の変換でも
説明できるではありませんか。


だって、セスナに乗ることよりも
香さんがいなくなることの方が
冴羽さんには大問題ですもんね。


過去に囚われたココロは
今と未来への強い集中で
突破をつくることがある。


人のココロは不思議なものですね。
形があるわけではないのに
強かったり弱かったり
人を揺さぶるものなんですね。


それにしても、冴羽さんは
いろいろトラウマ背負ってるわりに
明るい人ですねー。
読み返すといろいろ深読みできて
楽しいです。


冴羽さんを始めとした
人物分析はまたこれから。
お付き合いしていただけると
嬉しいです。


投稿:主任研究員 織田 貴子(上級プロフェッショナル心理カウンセラー、アイディアヒューマンサポートサービス所属)


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