逆境に負けないメンタルのコトバ

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アイディアのメンタルトレーナーが「逆境に負けないメンタルのコトバ」をお届けします。

vol.23 米田 功

アテネ五輪金メダリスト
アイディアメンタルトレーニングセンター
メンタルトレーナー

あの負けがあったからこそ、
大きな勝利を得ることができる。
忘れられない悔しさは、我々を最大限強くする。

vol.23 米田 功

解説

「負け」は、「負け」。
しかし、一つの「負け」が大きな勝利をもたらすことがある。
元男子体操選手、米田功氏は、ジュニアの頃から天才と呼ばれた選手。
オリンピックは確実と言われ、社会人最初の年にやってきた大きなチャンスに挑んだが、しかし、そこで味わうのは、まさかの敗退。シドニーオリンピックの代表になることはできなかった。 「自分にすごく腹が立ったんです。」と米田氏。
「オリンピック出場はもう無理だとわかったとき、いつも試合の後には必ず家族と会っていたのに、そのときは家族の顔が見れなくて、一人で会場を離れました。
負けた時に、初めて考えたんです。
家族は、オリンピックに行くんだと応援してくれていた。その期待に応えてきた自分だったんだろうか。」
米田氏は、小さな頃からずっと厳しく鍛え上げられる環境にあった。そこで、大学では違う環境に身を置きたいと思い、自由な校風を選び、体操を続ける。
彼は天才と呼ばれていた。そして、その頃の米田氏にとっては、天才とは、練習しないでも技を決め、勝っていくイメージだった。しかし、本当にシドニーを現実的にめざそうと思った時に、今までの練習方法が間違っていたと気がついたという。
「僕には姉がいます。子どもの頃から、母はずっと自分につきっきりでした。身体が弱いこともあったし、体操を始めてからは、送り迎えも含めてずっと自分と一緒だった。ふと思ったんです。姉は、誰と食事をしていたんだろう。」
一人で体操をしていた気持ちになっていた。けれども、実はがんばっている自分を支えてくれていた家族がいて、オリンピックをめざしていたんだと、その時に初めて実感したという。
「だから、勝てなかった自分にものすごく腹が立ちました。こんなんじゃだめだ、絶対にオリンピックに行かなくちゃいけないのに、その期待に応えていない自分に怒りを感じたんです。それが、次のアテネへの原動力になりました。」
負けて、期待に応えられなかったことに落ち込んでいる暇はない。米田は突き動かされるように次のアテネをめざす。
「練習嫌いで、いかに練習しなくてもできるかということばかり考えていた大学時代とはがらりとスタイルを変えました。むちゃくちゃにがんばっているのはカッコイイ。アテネに向けて、無駄なものは全部そぎ落としてでもがんばろうと思いました。」
結果、見事にアテネの代表選手になる。その勝利をつかんだ瞬間の笑顔は充実したものだった。
「シドニーにいけなかった悔しさも、自分への怒りも全部がエネルギーでした。それが自分を突き動かしたと思います。」
悔しさを忘れない。そのエネルギーがやがて28年ぶりの金メダルにつながっていくのだった。

アイディア式メンタルトレーニングとしては?

「負けた時に、泣いてる選手がいて、ずっと不思議だったんです。負けて泣くより、腹を立てるものじゃないかと思うからなんです」と米田氏が言ったことがありますが、実はこの感想は、米田氏のメンタルの強さの秘密に触れています。
シドニーで負けた時に悔しくて腹が立った、自分に怒りを覚えたという米田氏は、4年間、その怒りを捨てていません。しかし、負けたときの感情を忘れずに持ち続けるには大きな精神力が必要です。これは、負けた→悔しい→発散、という風に簡単に感情を手放すよりも、実はとても自分にストレスをかけていくことでもあるのです。 悔しさや怒りは、手放してしまうほうがとても楽です。発散してみたり、負けた理由を探して納得してしまうほうがメンタル的にはストレスがかかりません。しかし、米田氏があえて「怒り続けた」のは、怒りは大きな行動のエネルギーにしていけるからなのです。
怒りは、目標へのこだわりを生み、達成への執着心につながります。難しいかもしれない、大変だ、もう無理かもしれないというネガティブな思いや感情を、怒りは文字通り焼きつくしてくれるものなのです。だから、怒りを手放さない。怒りをもち続けていくこと、それは、絶対にオリンピックへ行くんだと決心する原点への回帰であり、勝利と結果への執着心を持ち続けていくこと。 勝利と結果よりもその場の反応や「楽を求める」気持ちに負けそうになるときに、怒りは自分の最大の味方になりえます。
あえて怒りというストレスから逃げず、目標へのエネルギーにしていくこと、これが自分の中にある最大限の力を引き出していく要因になっていくのです。

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