ボクシング 柔道決勝

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2008年メンタルトレーナーからみた北京オリンピック

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現地リポート photo

8月10日 日曜日

会場入り口ついに金メダルの瞬間に立ちあえました。
今日の北京は恵みの雨。
朝から雨が降っていたなと思ったら、昼からは晴れたり降ったりのにわか雨が断続的に繰り返される状態に・・・。
激しい雷とともにどしゃぶりの雨が降りつける中、柔道とボクシングの試合にいってきました。

スポーツは大きく三つに分けられます。
ひとつは体操競技やシンクロのように「美しさを競う」スポーツ。
もう一つは競泳や陸上のように「スピード・タイム」を競うもの。
走り高跳びや砲丸投げ重量挙げなどもこのような「数字を競うもの」に入ります。
そして柔道やボクシングなどは「対戦もの」戦うスポーツは自分のメンタルコントロールだけでなく、相手のメンタルコントロールとのバランスが勝敗を決めることになります。
「焦り」や「苛立ち」はすごく相手に伝わり、それでますます責められることにもあります。闘争心があっても、相手をしっかり見ている沈着冷静さも必要です。
自分のメンタルの状態がすぐに相手に伝わってしまう、集中力と闘争心と冷静さが必要なスポーツなのです。

柔道とボクシング

試合の様子メンタルトレーニングがスポーツの分野で一番最初に取り入れられたのはボクシングと言われます。昔のボクシングのメンタルトレーニングはトラとにらみ合いをしながら、闘争心を培ったという話があるくらいボクシングとメンタルトレーニングは切っても切り離せません。かたや柔道は「武道」ですから、日本的な「精神世界」を基調としたスポーツです。「礼の始まり礼に終わる」決してガッツポーズをしたりするのではなく、相手を重んじ場に敬意を払うことを徹底して意識したスポーツ。
それらを見ながら「対戦スポーツにおけるメンタルトレーニング」を考えてみたいと思います。

ついに実現!!金メダル!!柔道男子
ついにこの目で、生「金メダル」を見ることができました!(近藤・福田チーム)

内柴選手が出場した今日の男子決勝。
内柴選手は、常に攻めの姿勢を感じながらもその表情は涼しげでさわやかだったのがとても印象的でした。
闘争のなかにもつねに自分をしっかり持ち、研ぎ澄まされた精神力を感じました。
そしてみごと優勝!!

その瞬間は鳥肌が立つくらいに感動しました。

君が代が流れる中、日の丸が上がっていくのがみれたとき、なんともいえない感動で涙が出てしまいました。
「これはどんな人でも日の丸を揚げたいという願いがあるのは本当にわかる気がする」

メンタルトレーナー浮世が感じる観点

客席理屈ではなく、究極の賞賛を一身に感じることは、トップアスリートにとっても自分の存在意義(アイデンティティ)を感じる瞬間なのだと思いました。

ほとんどのアスリートは子供の時から一心にオリンピックだけを夢見て、毎日毎日想像を絶する過酷な練習に取り組みます。
私が担当していたある選手は「学校で友達はほとんどできなかった。授業が終わったら毎日ひたすら練習しかしないから、友達のところに遊びに行ったり友達を作る暇がなかった」といいます。「みんなが楽しみにしている夏休みは自分にとって一番練習がきつくなるときで、毎日毎日ジュニアの試合と練習にあけくれるんです」と。
そんな生活を子供の時からずっと・・・。社会人アスリートになってからはさらに過酷さを増し、一日練習を休むことが即「引退につながる」くらいのトップレベルの厳しさがさらに加速します。
そんな生活を一年365日、続けることがトップアスリートの資格なのです。

でも、私はそれでもその人たちを「幸運」と思わずにはいられません。
トップに君臨するアスリートの陰で、辞めていった選手、オリンピックに出れなくて涙をのんだ選手がどれだけいることか・・・・。身体能力に限界を感じてやめる人。環境にめぐまれずに断念する人。家族の理解と援助が得られず涙をのむ人。また必死で戦ってもけがに泣き、わずか1ポイント差になき、多くの選手の「気持ちがぎゅっとつまった日の丸」をもって日本代表選手は選ばれると思います。
ですから、日の丸にはそこに立つ選手に敗れたすべての選手たちの思いや、気持ちが敬意をもって掲げられてほしいと思うのです。
すべての戦いが終わって、その時、その会場にいる人すべてが、いえ世界の人すべての人が、そこに立つ金メダリストと。そこにかかわったすべての方のために最大の敬意を示す瞬間が金メダルの瞬間だと思います。

内柴選手改めて、金メダルおめでとうございます。
最高のメンタリティを見せていただきました。ありがとう。

ボクシング

ボクシング会場ボクシングは、スポーツの中で初めてメンタルトレーニングを取り入れられただけあって、かなり過酷でストイックなスポーツです。
今日は世界最高峰の試合を4ラウンド12試合見ました(橘ほかチーム)

12試合というのはとても長いのですが、その分多くのトップアスリートの試合が見れるのはとても貴重なことです。
メンタルトレーナーとしての観点を橘メンタルトレーナーからの視点でお伝えします。

ボクシングをみた感じた感想は次の通りです。ポジショニングと脱力誘導の大切さを感じました。まさに強い選手はそれができているということを実感しました。

戦いの場面で一番メンタルが試されるポイントは「追い込まれた時」だと思うのですが、追い込まれた時はどうしても体に余分な力がはいってパンチが大振りになります。これはいつも私たちのメンタルトレーニングでお伝えしている「胸部や肩の力を抜く脱力誘導」だと思いますが、それができず力が入ると大ぶりになる。そして足が動かなくなるのでますます打たれるという悪循環になります。そこで、追い込まれたときのメンタルトレーニングを意識するだけでまったく結果は変わってきます。

また、次の一分間の休憩時間の使い方が大事だと感じました。
私たちがプロテニスのチャンピオンをメンタルトレーニングした時に行っていたプログラムですが、テニスも休憩時間が1分半です。これをそのまま休んでしまってもだめで、まず最初の30秒で深く呼吸をし脱力します。興奮をしずめ、余分な体の力を抜くことに徹します。呼吸を深くすることで酸素を少しでも多く取り込み、回復をしっかりすることを意識します。
短い時間ではしょせん体が休まるほど休めないもの。大切なのは、リセットして回復すること、そして次に戦う集中力を増すためのメンタルトレーニングの時間にすることです。休憩の後半は、集中力を高め、次のラウンドの開始の合図と同時に100パーセントの力が瞬間に出せるようボルテージを上げていきます。

フェンシングもそうですが最大に瞬発力をあげるためにはスピードが大切。
エンジンを吹かして、GOが出たら一気に走りだせるように、徐々にイメージトレーニングによって集中力をあげていくことが大切なのです。
瞬発力とは集中力のスピードのことなのです。

最後に隣で声をかけるコーチの役割です。
追い詰められた時、コーチがさらにヒートアップして怒鳴り散らしている姿を見かけました。これは選手がますます萎縮してしまったり、てんぱってしまいます。
むしろ、すばらしいコーチングというのは、選手のリズムを乱さずに、仰いであげたりして呼吸を整えさせています。その上でゆっくりと大切なポイントをささやくように語りかけます。その言葉に静かにうなずく選手は、そのアドバイスによってさらにメンタルを安定させていっているように感じます。
言葉は、耳で聞こえていても脳で聞こえていなければ、選手の心には届きません。
大切なのは脳がきちんと聞き取る状態をつくるためにどうやって安定させるかがポイントなのだと思います。

ボクシングを見て、あらためてメンタルトレーニングの大切さをひしひしと知りました。技術だけではなく、メンタルの観点でボクシングを見る。これからもまた多くのボクサーたちをサポートしていきたいと思っています。

明日はいよいよ北島選手が登場する競泳、そして日本の女子バレーボールです。
また楽しみにしていてください。まだ夜中まで雨の降る北京からお伝えしました。

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