自己の利益のみではダメ!アドラー心理学「共同体感覚」について


現代に生きる私たちは、周りが競争相手のように思えて自分の利益のみを追求しようと思ったり、相手と比較して自己否定に陥ったり、敵対意識を相手に感じてしまうなどがあると思います。でも本当の幸せを得ようと思ったら、自己利益の追求だけではとても問題があるのです。それは、私たちが必ず必要とするとされている共同体感覚に秘密があります。今回はそんなアドラー心理学の考え方である「共同体感覚」についてご紹介いたします。

「自己の利益」だけ追い求めてはうまくいかない

私達は、現代の競争社会において自己の利益のみを追いかけて生きる人が多くなってきています。自分の利益だけ追い求めてしまう生き方を「私的論理」と言います。アドラーはこの歪んだ「私的論理」では幸せになれないと説いています。私たちが幸せになるには「コモンセンス一致すること」が大切と言われています。「コモンセンス」の「コモン=共通」、「センス=感覚」という意味です。

私たちは、必ず色々な共同体に所属して生きています。家族、国など人が生きていくには共同体は欠かすことができません。その欠かせない共同体の中で生きている人間が、私的論理を中心に生きてしまうと、誰もが相手から搾取することばかりを考えてしまい共同体は成り立ちません。共同体秩序が崩壊してしまい、色々な所で問題が起こってしまうのです。ですので、自己の利益ばかり追い求める生き方は、人間にとって不都合になるのです。

「共同体」の中で生きている事実

私達は様々な共同体に所属して生きています。家族、学校、会社、市民、県民、国民など共同体の形はさまざまです。そんな共同体の中で、アドラーは縦の関係ではなく横の関係として対人関係を捉えると良いと言っています。上下の関係で考えてしまうと、力関係が出来てしまって疲れてしまいますし、それ以上関係性が進展しなくなってしまうためです。例えば、会社でとても理不尽なことを上司が言っていても、部下は上下関係がありますので納得してしまったり、合わせてしまい意見を言わなくなってしまったりというケースがあるでしょう。この場合、部下は、本来言いたいことも言えず、お互いの関係性が固定されてしまっています。これはアドラーの理想とする横の関係とは言えません。

また、アドラー心理学には「褒めたり、叱ったりない」というのがありますが、「褒める・叱る」も縦の関係から来ています。子供のころから何かの行動を度に「褒める・叱る」を繰り返して育てられた人は「褒める・叱る」をされないと行動できない人になってしまうのです。ですので「褒める・叱る」ではなく、「ありがとう」と感謝をするようにしましょうとアドラーは説いています。ですので、縦の関係ではなく横の関係で繋がるのが、共同体感覚の第一歩です。

「共同体」に貢献する生き方

アドラーは、私たちの生きていく上で共同体感覚が欠かせないと説いているのですが、その共同体感覚こそが対人感覚のゴールだと言っています。人間は一人では生きてはいけません。したがって、他者を敵ではなく仲間としてみることが大切で、それによって自分の居場所が獲得でき、仲間たちのために貢献しようと思えます。それが共同体感覚です。それによって幸福感を抱くことができるのです。共同体感覚のために必要なことは、以下の3項目です。

自己受容

自分自身をありのまま受け入れて、良い所も悪いと感じるところもそのまま受け入れる事です。出来ない所もしっかりと受け入れるところから始めましょう。自己受容が出来たら「私は〇〇が出来ない。だからどういった対応から始めようか?」と考えられるのです。

他者貢献

他者に貢献することで自分自身の幸せ感を得ることができます。また、人が自由を選ぼうとしたら色々な迷いが生まれますが、それを他者に貢献しているのだという思いを持ち続けることで、道を見失わずに進むことができます。

他者信頼

他者に貢献するには、他者を信頼して仲間だと思う意識がとても大切です。何かをしてくれるから信頼するではなく、他者信頼は無条件で信頼することです。例えば相手が裏切るか裏切らないかは相手の課題ですので、あなたが関与すべきではありません。

人間として社会生活を送る以上、他者とのかかわりは避けられません。アドラーは、この他者とのつながりに注目しました。1人きりで目的を遂げることは難しくても、他者の知恵や手を借りることで解決できることはたくさんあります。自分の弱点や短所を補うために他者との結びつきを求めているのです。アドラーの言う共同体感覚は、他者との関係委置いて自身や人類の幸福のために役立つ考え方です。

 
私達は一人で生きているのではありません。共同体感覚を持って、自己の利益のみを追求するのではなく、他者に貢献することで幸せを得ることが必要です。またそうする事によって、人生に迷いがなく進みやすくなります。アドラー心理学の考え方を学んでみて下さい。より良い生き方を見出すための手助けとなってくれるでしょう。



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