内田司

Honolulu2007

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アイディア発ホノルル行き 死を目の前にした時あなたはスタート時点に立てますか?

私も一緒に走ります

東京渋谷駅前校49期生 内田 司

Message02
病を抱えて

☆ホノルル・マラソンに向けて☆
~21世紀の身体文化の創造。そのデモンストレーターとして~

私には常々、信念としている事があります。それは『心の時代』の裏にはそれに匹敵する様に壮大な『身体の時代』を内包していると考えている事です。その二つは最初から一体である事を宿命付けられているのだと。私達の身体が内包する広大なフロンティアの探求なくして『心の時代』はあり得ないとさえ思っております。特に近年、私の見解ではありますが、西洋からもたらされたカウンセリングそしてメンタルトレーニングが私達東洋人が培ってきた古の極意と出会う時代が来ていると感じております。生意気にもその様なことをアイディアに入学した当初から思い描いておりました。なぜなら必ずお互いを必要とする時が来ると考えるからです。

今年、高校野球において愛工大名電高の柴田投手の活躍で話題となった難病ベーチェット病。実は私も彼と同じ病を患っております。一昨年・昨年と特に最近まで症状は思わしくなく、仕事も休んだ日数の方が圧倒的に多い。それでも身体能力は今が生涯絶頂と自負しております。体力がではありません。むしろ普通、体力の基準と見られる筋力や持久力などというものは生涯最弱であると言えます。私がやっている事は足し算ではありません。むしろ引き算なのです。今ある身体に体力を足して行くのではなく、今ある身体から無駄な力みや間違った動き無駄のある動きの要素を徹底的に省いていく方向性です。これは一般的身体より身体資源の乏しい人間が一般的かそれ以上のパフォーマンスを発揮し得る手段として、私が選んだ方法です。体力としてではなく、術としての身体能力。武術マニアが高じてこの様な鍛錬を独学で約3年前から始めているのですが、有難いことに今年からやっと効果が現れ始め、今年は病気の症状はあるものの一度も倒れておりません。

しかし、それだけでは社会に対してコミットするには今ひとつ説得力が乏しい。何か具体的に解りやすいパフォーマンスが必要である。

そんな折、東京渋谷駅前校で同じ道を学んでおられる同志、鈴木琢磨氏と偶然知り合い、今回のプロジェクトに誘っていただけることとなりました。これまた偶然、今プロジェクトの発端であられる村田清弘氏の挑戦のお話に心打たれ、マラソンに少し興味を持って、長い期間をかけて究極の走法を体得しようと少しずつ鍛錬を始めていることが鈴木氏の知れるところとなったようです。

マラソンといえば高校生の頃、体育の授業で走って以来一度もやっておりません。しかも、当時体力も精力も満ち溢れているはずの10代の身体をもって1km程度で歩き始める有様でしたから、病気以前におよそ運動やらスポーツには縁のない男でありました。今にして思えばなんと間違った体の使い方をしていたことかと回想されますが、当時は人間の身体に今の自分が気付くことが出来た可能性が存在しているとは夢にも思いませんでしたし、そんなことは誰一人として教えてくれなかったのです。

今や、高校生の頃を思えばとんでもないことになっています。それなりに身体を使えれば走っても走っても、満33歳をしてかつての疲労感は起こりません。

フル・マラソンの距離でも通用するかはまだ未知数ですが、まるで何者かに運ばれているかの様な感じがします。身体がその様に使えるようになって初めて「ああ~しんどい歩きたい…」という感覚が消えていく。根性とは精神論ではない。もう、楽しくて仕方がありません。剣術の胸の動きがマラソンの腕振りに応用出来るとか、マニアックなことまで書き出すとキリが無いので止めておきます(笑)。肝心なのは、この様な私の身体をもってしてもここまで可能性があるということ。しかも、ほとんど独学です。ここに人間存在の壮大なフロンティアや希望を見出すことが出来るということです。もちろん「それなりに」身体を使えれば~と申しておりますとおり、今の私に出来る程度のことはまだまだその入り口・突端に過ぎません。

かつて存在した達人・名人と呼ばれた人達や、一日に凄い距離を移動した江戸時代の飛脚たち、伊勢~江戸間を3日で往復したという神速歩行術の達人…彼らに比べれば。しかし、私達もそんな古の偉人たちと同じ人間の身体を持っているのです。今やほとんど失われた伝説が確かに現代の私達の中にも眠っているのです。その存在が今一度見直され、今世紀は江戸人とも従来の現代人とも異なる新たな身体文化を創造していく時代であると確信しています。

およそ心の勉強をしている者らしからぬことばかり書いてしまいましたが(笑)、今回のホノルル・マラソンへの挑戦がその小さな一歩となり、この挑戦がそのデモンストレーションとして社会貢献のささやかな一助となれることを願ってやみません。

この素晴らしい機会を与えてくれた村田氏、鈴木氏、浮世先生、そしてそんな素晴らしい仲間に出会うことができたアイディアに心と身体より感謝いたします。

(終)

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